▼その12 オンリーワンのビジネスなら、ライバル不在って本当?
NPOあつぎみらい21が発行するメールマガジン
かながわBusiness Networkの2019年6月号に寄稿ました。
▼その12 オンリーワンのビジネスなら、ライバル不在って本当?
ニッチビジネスの事業企画や経営計画の作成、立ち上げに関わっていることから、
世にない価値を生むアイディアや技術をどのように売っていくか?、を日頃からそ
のヒントを探したり、解決策を考えたりしています。
新規事業に挑戦する経営者や起業者の相談を受けるたびに「ライバル不在だから
売れるハズ」という言葉を聞くのですが、世に無い新しい価値を市場に提供すると
き、エッジが利いている商品ほど浸透するまでの苦労があります。
顧客側の心理に立てば一目瞭然なのですが、代替需要のないタイプの新しい価値
は、購買者である家計も企業も限られた予算の中からお金を出すことが難しく、あ
る程度世の中に価値が浸透してから買うことになります。
読者の皆さんのうち、多くはケータイやスマホを、周りにが持っている人が増え、
使い勝手や費用がある程度わかってから買った記憶があるとおもいます。
この時のキモチを思い出してほしいのですが、ケータイやスマホを買うことで、
皆さんのオサイフのバランスが大きく変わったはずです。
一部の例外を除き、お金は降ったり湧いたりしないので、新たな支出のため意識
的もしくは無意識に関わらず、何かの支出を我慢していたのです。
バブルごろにムーバを買った人ならゴルフ代や1~2回の飲み代分くらいが、通
話料に消えていたのではないでしょうか?
つまり、この場合のライバルは「交際費」だったことになります。同じように、
新しい価値をビジネスにする場合、商品・サービスや同じ業界だけを見ていても売
れないケースが大半なのです。
・・・まずは本当のライバルを見つけてくださいね!
次に、世にない価値を売っていくのは、どのようにすれば良いでしょうか?
エッジが利いている商品やサービスなどは、相手の感性の鋭さに依存します。そ
のケースでは、初期のお客様と拡大期のお客様で対応を変えることも一つの方法で
す。有名なアイドルグループも、数年かけてアイドルおたくから、一般のマーケッ
トへと2段階で拡大したことは皆さんご存じでしょう。
また、新たな価値を展示会で広めたいときには、あえてその場で売ることをせず、
価値を実感させるイメージや体験をブースで仕掛けることも・・・
個々にこれまで支援したケースを解説することは差し支えがあります。そこで、
過去訪れた展示会で印象的だった経営者の話を紹介します。
素朴に木を切り出して最小限の加工したもので、デザインセンスも良いのですが、
最初は単純に商品を並べ展示していたら、何の商品か誰もわからずに、ブースへ立
ち寄ってくれなかったそうです。
次は少し工夫をしてダイニングテーブルを用意。木のお皿として展示したら、注
目され出したそうです。
そこでさらに、食品サンプルをお皿の上に置いて、食卓のイメージにしたら、初
日からたくさんの人がブースに押し寄せるようになったということです。
商品を売るよりも、その商品を通じた「生活イメージ」や「体験」させて、顧客
へ認知を広げた好例ですね。身をもってそれを理解し実践したこの経営者は、きっ
と業績を大きく伸ばしていく事でしょう。
◇ ◇ ◇
今回は、世にない価値にも必ずライバルは存在すること。そして、世にない価値
をお客様に認知させる考え方の一つを紹介しました。
皆さんも新たな価値を生み出すことのチャレンジと、それを世に広げていくこと
の楽しさを知ってもらえれば何よりです。
また、面白いビジネス視点を見つけたら配信します。お楽しみに!