専門用語を使わないマーケティングのハナシ。Vol.7

その7「貴方は紙を信じますか?」パート2~フリーペーパーに潜む罠~ の巻 
NPOあつぎみらい21のメールマガジン「メルマガ起業セミナー」に寄稿しました。

伊豫田 中小企業診断士事務所が寄稿したビジネスコラム


専門用語を使わないマーケティングのハナシ。
その7「貴方は紙を信じますか?」パート2の巻


 

▼その7 「貴方は紙を信じますか?」パート2
                    ~フリーペーパーに潜む罠~ の巻

 みなさんのビジネスにおいて販売促進の手段であるクーポン雑誌をはじめとするフリーペーパーへの広告掲載を検討した事はありませんか?

 消費者側の立場で考えると、色々なお店の中から自分の希望に合ったお店を見つける時や、様々なクーポンを使いお得にサービスをお試ししたいときなどに大変便利な情報源ですね。今回はそんなフリーペーパーを考えてみます。

 いざ起業となったときに、これだけ便利な媒体ですから、広告を出すメリットも考えている事でしょう。   しかしソコにはとんでもない「落とし穴」が・・・

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 フリーペーパーは同業のライバルがひしめく中で出す広告です。一見便利なように見えますが、起業者側の立場を取れば、読者に冷静に比較されるという事です。
 そのページの中で一番目立ち、顧客の欲しいサービスや商品情報を掲載する事ができれば、効果テキメン! これほど有効なメディアはありません。

 が、逆も然りです。ライバルの中に埋没してしまうような曖昧な広告では、全く広告の効果が無く、決して安くない広告費用が無駄金となります。
 まして悪い方向で目立った場合は、不幸にも「割に合わない店」とレッテルを貼られ、次に良い広告を出しても2度と振り向いてくれなくなる事もあるのです。

 つまり、フリーペーパーをはじめとする、広告は「諸刃の剣」であることを理解してください。広告の紙面上で既に生存競争が始まっているのです。

 前回(その6)コラムで書きましたが、クーポン誌を中心とするフリーペーパーの読者は、お店の内容や商品も見ますが、「割安感」や「値引率」を重視する事が多いのです。

 一度値引きのクーポンを出してしまえば、顧客はクーポンの値段が常識となり、価格競争力の無い創業者は低利益のビジネスを余儀なくされます。もし、あなたのお店が十分な顧客と利益をすでに持っているか、十分な利益を確保できるビジネスモデルを確立しているのなら、フリーペーパーへの広告掲載はリスク以外の何物でもありません。

 また、売上に伸び悩んでる皆さんも、コンセプトが定まらないまま広告を出してしまうと、掲載された他社と比較され、良くても「つまらないお店」、悪いと「行きたくないお店」と認識されてしまいます。

 広告という手段を取る前に、起業段階なら自分のお店で顧客に伝えたいことは何であるか?、開業後に売上が伸び悩む店なら「売上が上がらない理由」を突きとめる事が先決なのです。

 「お客が増えます」「売上が上がります」といった広告営業の誘い文句に安易に乗ってしまうと、自分の首を絞める結果となる事もあるので、お店のコンセプトが固まらない段階での広告はくれぐれも注意しましょう。

 対策は簡単です。まずは業種に関係なくフリーペーパーを熟読して、消費者としてどの様に感じているかを自分自身で感じてみる事です。そこで、行きたい店やイマイチな店、サイアクな店の広告が出ていたら、実際に足を運んで見て下さい。

 そこに様々なギャップを感じる事でしょう。広告がダメでも店が良かったり、その逆に、せっかくの良い店が広告が悪いばかりに誤解を招いているお店も見つかるでしょう。自分のビジネスも異業種も試してみると、より広告の効果と意味が分かりますよ! フリーペーパーへの掲載はそれからでも遅くはありません。

 さて、今回の話も「顧客と向き合う前に、自社の方向性を固めよう。」と言う事でした。きちんと理解できたでしょうか。

 また面白いビジネス視点を見つけたら配信します。次回をお楽しみに!

<参考資料>
「メルマガ起業セミナー」バックナンバー

その4 「ハンソクワザは使いよう」の巻
http://www.atsugimirai21.org/mailmag/10-12-10.txt

その6 「貴方は紙を信じますか?」 ~アンケートに潜む罠~ の巻
http://www.atsugimirai21.org/mailmag/11-09-25_Vol18.txt