その2「提供価格は安易に変えない。」の巻
NPOあつぎみらい21のメールマガジン「メルマガ起業セミナー」に寄稿しました。
専門用語を使わないマーケティングのハナシ。
その2「提供価格は安易に変えない。」の巻
セブンイレブンを始めとするコンビニ各社は最近、フランチャイズオーナーの意向に沿った「見切り品の販売」をする様になりました。
また、ペットボトルなども147円の定価で売っていたものが、緑茶飲料などは125円で販売される傾向が高まり、お菓子は100円の低価格商品が所狭しと並ぶようになりました。
これらは、コンビニエンスストアが町中にあふれ、どの店に行っても変わり映えがしないために起きた、価格崩壊現象です。同業他社から自社を目立たせる方法が「値下げ」以外に無くなってしまったのです。
値下げによる過当競争が起きた例は、ガソリンスタンド、航空券、ファストフードなど枚挙に暇がありません。デフレの昨今、消費者には有りがたい限りですが、一度引き起こると、業界全体が焦土と化す事は皆さんもご存じのとおりです。
スポーツを例に説明します。野球のピッチャーでいえば、投げ分けるコースでバッターボックスの立ち位置を変えてくれるなら、打ち取るのにこれほど簡単な事はありません。内角への危険球スレスレの速球で腰を引かせて、バットが届かない外角いっぱいの速球で難なく三振にとる事が出来るからです。
テニスでいえば、上手なプレーヤーが格下選手を相手にコートの端から端まで散々走らせておいて、鮮やかなパッシングショットで仕留める様なものです。
つまり、自分が競争優位な状況に立つためには、相手に合わせるために安易に自分のポジションを明け渡してはならないという事です。
吉野家はすき家、松屋が繰り広げる価格競争に耐えようと必死です。低価格商品の「牛鍋丼」を発売したのも、牛丼の価格を守るために他なりません。
いまでこそ高収益のマクドナルドですら、低価格販売で業績を低迷させた時代があるくらいです。企業体力のない創業時では価格競争で生き残る術は有りません。
もし巻き込まれてしまったら、傷口が大きくなる前に撤退の検討するべきです。
皆さんは閉店間際のスーパーで、店員が値下げシールを貼っている所を見た事がありませんか? ハイエナの様に買い物客が、値下げをする様子を伺って、辺りを取り巻いていたでしょう。
彼らは一度でも値下げをしようものなら、たちまちその値段を「自分の定価」と覚えこんでしまいます。 そう、消費者は賢いのです。
さて、「売れないから値段を下げてみよう」と販売価格を安易に変える事がどれだけ自分のビジネスを不利な立場に追い込むかという事を理解できたでしょうか。
皆さんのビジネスモデルは単純な価格勝負になっていませんか?
また、面白いビジネス視点を見つけたら配信します。お楽しみに!
<参考資料>
公正取引委員会
株式会社セブン-イレブン・ジャパンに対する排除措置命令について
httpwww.jftc.go.jppressrelease09.june09062201.pdf