専門用語を使わないマーケティングのハナシ。Vol.10

その10 規制緩和は追い風? 規制が生み出すイノベーション。の巻 
NPOあつぎみらい21のメールマガジン「メルマガ起業セミナー」に寄稿しました。

伊豫田 中小企業診断士事務所が寄稿したビジネスコラム


専門用語を使わないマーケティングのハナシ。
その10 規制緩和は追い風?
規制が生み出すイノベーション。の巻


 

▼その10 規制緩和は追い風? 規制が生み出すイノベーション。

 TPPや農協改革など、いまの政府は経済再生のために、これまで積み上げてきた日本の産業構造を組み直そうと躍起になっています。

 国レベル主導で大きな変革が生まれるときは、起業や新分野進出の扉が開くチャンスが回ってきます。しかしながら、大きな改革は同時に多くのプレーヤーや大企業の参入を招き単純な力勝負になることも。

 今回はその「ちょっと前」にスポットを当てます。

◇ ◇ ◇

▼八百長問題 大相撲を揺るがしたシステムの不備

 さて、長い間日本人横綱が不在となり、両国の国技館には32枚の優勝額すべてが外国人力士よるものとなった日本の国技「大相撲」からネタを拾いました。

 大相撲は日本の国技として長い間に昇進の仕組みなどのシステムが出来上がったものです。相撲の目指すところといえば、元来「神事」であり、心技体の完成した存在を横綱とし、それを目指して日々精進することがすべてのはずでした。

 ところが十両力士による星の売買が行われ、八百長問題としてまだまだ記憶に刻まれている方も多いと思います。本来のスポーツ・神事としての競技が汚されてしまいました。
 大相撲は十両と幕下では待遇が大きくちがいます。収入だけでなく部屋の雑用、個室の有無、移動手段、食事まで多岐にわたっており、「十両と幕下は天地の差」と表現されるほど徹底されています。

 力士がこれを守る手段を「実力」ではなく、「お金」を決済手段にしたところが、八百長問題の発端となりました。困りごとをビジネスに変えるという意味では、ビジネスの王道なのですが、残念ながら明らかに相撲道の主旨に反しています。

▼スキマから生まれるビジネスチャンス

 起業家の皆さんには、違う世界の話と映るかもしれませんが、この考え方は、大きな下請け産業構造の中や、規制の大きい業界の中にもあてはめる事が出来ます。
 世の中の規制や業界慣習に潜む利害のゆがみを理解すれば、そこに中小企業が生きていく小さな市場を見つけたり、大きなビジネスを生むチャンスとすることも出来るのです。それは大きな格差が生じているところに必ず起きる「ビジネスギャップ」です。

 その両者を取り持つサービスや製品を持ち込めば、必然と市場がうまれます。大きなものでは、規制という障壁の業界から出た発泡酒や第三のビールは、税制という大きな障壁を醸造メーカーが逆手にとりました。

 もともと租税を回避しようとして、成分を変えながらも風味をビールに近づける代替品として販売した物ですが、デフレの環境が追い風となり消費者に受け入れられました。いまでは発泡酒と第三のビールを併せビール系飲料の50%というシェアになり、新たな市場が確立されました。

 小さなものだと、チケットショップの新幹線回数券のバラ売りなどはその典型です。小さな商圏でありながら、普通運賃との差額が大きく、確実なニーズが見込めるため、大都市圏の駅周辺には小さな店舗が乱立しています。

◇ ◇ ◇

さて今回は、
 イノベーションは自ら起こすもの。大きな流れにのまれることなく、むしろ環境の隙間を突いて、独自のアイディアと戦略を持つ事が、ビジネスを起こすチャンスになると言う事が分かったでしょうか?

 皆さんのビジネスも、世の中に追随するだけでは主導権を握る事はできません。

 市場の変化にが衰退の始まりにならない様、存分に知恵を絞ってイノベーションを起こしましょう!

ビジネスは柔軟に! まさしく「上善水の如し」ですね。

 また、面白いビジネス視点を見つけたら配信します。お楽しみに!

 

<参考資料>
内閣府 「規制改革会議」 http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/