公的支援を使おう!(東日本大震災の公的支援策)

公的支援を使おう!(東日本大震災の公的支援策) 
NPOあつぎみらい21のメールマガジン「かながわ Business Network」に寄稿しました。

伊豫田 中小企業診断士事務所が寄稿したビジネスコラム


公的支援を使おう!
(東日本大震災の公的支援策)


 

▼震災による業績悪化から雇用を守り、企業のレベルアップを目指す!

 震災から2カ月がたちました。下火になったとはいえ余震が絶えない日々が続いています。また、電力の見通しも不透明なまま夏が近づきつつありますが、老舗旅館の倒産など、震災に関連する倒産や解雇の報道が増えています。
 一部の業界を除き深刻な消費の冷え込みが現実化する様相を見せる中、どの様な対策を考えるべきでしょうか?

 このような状況では、不要不急の商品やサービスを扱う事業者の業績悪化は避ける事が難しく、守りを固める事に専念する企業が大半です。しかしこの考え方ではリーマンショックと同じようにすそ野産業へと経済の収縮が広がり、やがては全体を巻き込んだ大型不況が訪れる事を避けることができません。

 このため、企業においては事業収縮に備え守りを固めるだけではなく、不況後を想定した新たなビジネスモデルの模索に注力しなければなりません。
 そこで「攻め」の経営に有効な施策として、「雇用調整助成金」を紹介します。

 

▼雇用調整助成金の概要

 東日本大震災に伴う「経済上の理由」で休業など事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業等を行った場合、労働者に休業手当を支払うときには、雇用調整助成金として休業手当相当額の一部を会社が受け取る事が出来ます。

震災に伴う経済上の理由として、
  1.取引先の被災などで原材料の入手や製品の搬出ができない場合、
  2.計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合
  3.風評被害により観光客が減少したり、農産物の売り上げが減少した場合
                        などのケースが相当します。

 受給については、細かい要件が有りますが、3年間で300日までの休業手当について日額の8割が助成されます。(中小企業の場合:上限金額あり)
 また、上記の金額に事業所内訓練の場合1人1日2,000円を、事業所外訓練の場合1人1日4,000円を加算して支給されるので、休業を余儀なくされるピンチを、新たな事業活動や自社の事業品質向上の為のチャンスとする事も可能な支援策なので、有効に活用する事をお勧めします。。

受給の要件として、
  1.雇用保険の適用事業主であること
  2.売上高又は生産量の最近3か月間の月平均値がその直前3か月又は前年同
    期に比べ5%以上減少していること。(計画停電の場合は緩和措置有り)
  3.ハローワークへ事前にその計画を届け出ること。
                             などがあります。

▼震災危機をチャンスに変える

 業績の低迷で従業員が持て余すのを、そのまま見ている事はありません。不況ならではの機会として、有り余っている人的リソースを新たな商品やサービスを生み出す投資・育成のチャンスとしてフル活用してはいかがでしょうか?

 NPOあつぎみらい21では、雇用調整助成金の受給相談にとどまらず、従業員の研修講師から新たな事業の策定支援まで、ピンチをチャンスに変える為の幅広い経営サポートを行っています。
 また、神奈川県の認定制度である「経営革新」は、1ランク上の助成制度を狙えるチャンスの入り口です。この機会にチャレンジすることをお勧めします。

 雇用調整助成金で「給料の補填が出来た。」と一息つくだけでは勿体ないのです。

(参考リンク)

厚生労働省 「雇用調整を行わざるを得ない事業主の方へ」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a05-1.html

神奈川県 「経営革新計画の承認手続と支援措置のご案内」
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kogyo/kakusin/